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バンド結成〜バンプ・オブ・チキン〜
直井 「で、その後すぐクリスマスがやってきて。俺らはもう、味しめちゃってんの」
藤原 「文化祭の時のね」
直井 「ひとつ拳をあげればみんなが総立ちになる感覚ってのを覚えちゃってたから。だから近所のちっちゃい施設があって」
藤原 「臼井青年館。おじいちゃん達がゲートボールやったり碁を打ったりするところ」
直井 「そこでクリスマスにライブをやろうっつって。ヒデちゃんのお母さんがそこを管理してたんだよね。で、使えることになって」
藤原 「ちゃんとやったよな。チケットも作って」
直井 「そん時から、ヒロが手伝ってくれるようになって」
藤原 「スタッフ的な感じでな」
「『レディース・アンド・ジェントルマン』とか言って幕を開ける係だった(笑)」
直井 「それでやったんだけど、もう、めちゃくちゃ大失敗」
藤原 「やる前に、まだ幕閉まってる時に、ザワザワってちゃんと聞こえたんだよね。文化祭のイメージあっから、客いっぱいいっぱいだべって思ってた。で、『どうなの増川、どうなの?』ってコソコソ行くと、『おう……結構来てるよ』みたいな(笑)」
直井 「ちょっとモゴモゴしてんの(笑)。もう状況わかってたから(笑)。で開けたら、後ろのほうに不良がたまってるだけ。女の子達は気まずそーうに。でも俺ら演奏して。藤原が弾き語りで”TRUE LOVE”を歌って(笑)」
藤原 「俺その時、歌い終わった後に好きな女の子に告白するってシナリオが出来てたんだけど、その子が来てなかった(笑)。でも幕が開いた瞬間、ほんと躊躇したよね」
直井 「躊躇した。だからそこで俺らもう、挫折っていうか厳しさみたいなのを知ったね(笑)。で、終わった後に来てた客が俺らを励ますみたいな(笑)。みんなで公園に集まって焚き火して。でもみんなほんと励ましてくれたよね。『お前らは良かったんだけど、俺らもどうやってノっていいかわかんなかった』って」
藤原 「『同い年の奴らがこんな頑張ってんの見ると呆気に取られちゃうしよー』とか言ってくれたりして、ちょっと泣きそうになった」
直井 「俺はほんと、中2で自分がベース買った時点で『プロになりたい』じゃなくて『なる』っていうのがわかってたの。ならないわけがないでしょって感じ。だって、もう俺ら、世界で一番カッケーと思ってたの。でもそでもその後、受験になってみんなバラバラになって、まあ塾とかの帰りにみんなで会ったりする程度で。毎週火曜日の練習はなくなっちゃってたんだけど、受験が終わって『どうする?』ってことになり。それで何気ない感じでまた火曜日に集まりだしたの。そん時は藤くんと俺とヒデちゃんになってたんだよね。で、藤原が申し訳なさそうに『俺、新しいメバー入れたいんだよ』って言ったんだよね。それで、ヒロともうひとりを連れてきたの。ヒロは大歓迎だった。ずっと友達だったから、なんでやんないんだろう?とすら思ってたし。そっから始まったのよ、高校時代のバンプ・オブ・チキン。……まだバンプ・オブ・チキンってついてなかったけどね」

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