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4.デビュー前夜!でもまず受験から…
藤原 「バンドを一旦休止することになったのはね、要は、升と増川が大学受験っつーか、進路を決める時期になって。まずね、話した。チャマが中心になって。『俺はプロになるよ』ってチャマは言ってて。『藤原はどうなの?』って言われて、『俺もこれ続けることになるんじゃねえかな』みたいなこと言って。だってこれしかねーじゃん、結局はさ。だからそういう意志を伝えたの。で、チャマが升と増川に『お前らはどうなの?』って話をして」
増川 「それ、はっきり覚えてる」
藤原 「俺らは即返事が来ると思ってたものが、即答ではなかったのがちょっと……温度差を感じた瞬間だったな(笑)」
直井 「俺、あん時、藤原と超話したもん」
藤原 「そう、だから4人で話し合う前にチャマと俺とふたりで話したんだよな。……この先どうなるんだろうってな。あいつらが受験やるんだったらやるで、ちゃんと俺らもそれを認めた上で時間与えなきゃいけねーんじゃねえか、みたいな話をふたりでして。バンド続けることも考えてないかもしんないしとか。そういう意志をちゃんと確認しなきゃってことになって、それで話し合いが設けられたんだよな」
増川 「俺、バンドは絶対やるって思ってたんだけど、でも……普通に大学にも行きたいなって思ってた」
「おんなじ。でもバンドは絶対、続けたいし。大学に進んだらもっと自由時間増えるし、だからもっと出来るから、ほんのちょっとだけ待ってて、みたいなことを言った記憶がある」
直井 「主に俺が不安だったのね。藤原も、その時期は『ダメ藤くん』ではなくなってたの。もうバリバリ。デモテープ送ったり、ライヴのブッキングしたり。だからもう、マネージャーみたいなことまで全部やってて」
藤原 「俺その頃東京にいたんだ、既に。ひとり暮らししてた」
直井 「俺はお父さんとの約束を果たせばいいだけだったから、18になったら絶対東京出るって決めてた。で、もちろんふたりもそうだと思ってたの。俺はほんとプロになるって決めてたから、大学なんて行く必要ないじゃんって。たぶん行って欲しくないとも思ってたし。ていうかね、そういう返事が返ってこないと思ってたの。大学行こうなんて思わないだろうなって」
藤原 「大学行かないでバンド続けてもらうように説得したいってチャマは言ってて。で俺は、『個人なんじゃねえかなそこは』って言って」
直井 「だからとりあえずふたりに意見聞いてみようってことになって、聞いたの。……ヒデちゃんはすごいしっかりしたこと言ってた。バンド辞めるつもりはまったくない、大学行ってもそれで迷惑かけるつもりは少しもないって言ってくれて。それで俺、安心したの。でもヒロに関してはなんか……すげーあやふやで」
藤原 「『親とかもあるし』とか」
増川 「そうだね。実際親とかあったもん」
直井 「俺すげームカついてた。だって自分の意見ていうよりも、『親がバンドで食ってくなんて許すわけねーし』とか言って。いや俺はお前がやりたいかどうか聞いてんだけどっていう」
藤原 「チャマはずっと『ずるいよずるいよ』って言ってた。……俺その頃、引き抜きかかった、そういえば。レコード会社的なものから。 そん時は言えなかったけど。『お前ひとりでいいよ』って言われて。『お前いい曲書いてんだから、こっちが用意するメンバーでバシっとやればすぐデビューだ』みたいな。 そしたら金もバンバン入ってくるし、買いたい服もCDも買えるし、楽器もどんどん良くなってくよみたいな。 俺、そのメンバーを切るってことにビックリした。なんか殴られた感じ。ガツンと。 現実を突きつけられた感じだった。そん時に初めて、バンドとかメンバーとか具体的に考えて。確かに俺含め下手さって。それよか地道な、先の見えない作業でも、今のメンバーが重要なんだって。それで、『俺はバンプ・オブ・チキンでいたいです』って話をした。……その時、俺はとにかく今のメンバーで行くんだって覚悟をしたのね。だから俺もチャマと同じように思ってたんだけど、ただふたりに対してチャマと違ったのは、大学行くなら行くでいいけど、バンド続けるって言う以上は責任持ってストレートで合格してストレートで帰ってきてくれと。で、大学を理由にバンドの活動を怠らないでくれと。そこまで話してたよね」
直井 「それに対してヒデちゃんが『俺が大学に受かんないっていうことがない』って言ってくれたのが嬉しかった。ヒロも同じこと言ってくれて。で、約束したんだよね、4人で」

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